
日常の疑問を大切にする
「なぜ?」「どうして?」というお子さんの問いかけは、思考力を伸ばすチャンスです。
すぐに答えを教えるのではなく、「どう思う?」と問い返したり、一緒に調べてみたりすることで、考える力を育みます。
会話を深める
表面的なやり取りで終わらせず、「もっと詳しく教えて」「それはどういう意味?」と質問を重ねることで、お子さんの理解を深めます。
親御さん自身の考えや経験を話すことも、お子さんの視野を広げる良い機会になります。
日常の中に学びの視点を取り入れる
ニュースや天気予報、買い物など、日々の出来事にも学びのヒントは隠されています。
「どうして値段が変わるんだろう?」「雨が降るとどうなるかな?」といった問いかけを通じて、お子さんの探求心を刺激します。
~「いつもの食パン、もしかして値上げした?」から始まる学び~
先日、ある東大生が中学生の頃、お母様とスーパーに行った際のエピソードをご紹介します。
この「なぜ?」を考える機会は、前述の東大生のエピソードのように日常生活の至るところに転がっています。先ほどとは別の東大生の例を挙げましょう。彼は中学生のころ、コロナ禍の時期に母親と近所のスーパーに行って、あることに気がついたそうです。
「いつもの食パン、もしかして値上げした?」
どうやら、以前は190円台で買えたはずの食パンに、200円以上の値がつけられていたようです。ほんの小さな気づきですが、彼の母親はこれを「気のせいじゃない?」などとスルーするのではなく、「ほんとだね。なんで食パンが値上げしてるのかな?」と問いを投げかけてきたそうです。
当時は、マスクやアルコール消毒液が品切れでした。悪質な転売が横行し、値段が上がっていることは中学生の彼にもわかっていました。ですが、なぜ食パンの値段まで上がっているのか?
「原料が値上がりしてるから?」
「パンの原料っていうと、小麦粉とバターだね」
「小麦粉ってほとんど輸入品だけど、今は輸入って難しいのかな……」
とか、
「食パン食べたい人が増えてるのかな?」
「外食できないぶん、おうちで食べる機会が増えてるのかもね」
と、会話をしながら、買い物ついでにいろいろな角度から質問されたそうです。そして、実際に小麦粉が値上がりしているのか見てみようと小麦粉が置いてあるコーナーに行ってみると、小麦粉やホットケーキミックスの棚が売り切れで空っぽになっていてとても驚いたそうです。
このエピソードからわかるように、頭の良い子が育つ家庭では、親御さんがお子さんの小さな気づきを見逃さず、「なぜ?」という疑問を一緒に考えることを大切にしています。
食パンの値上げという身近な出来事をきっかけに、お子さんは
価格変動の理由 (原料費、需要と供給など)
社会情勢との関連 (コロナ禍における物流の変化、内食需要の増加)
疑問を持って調べることの重要性 (実際に売り場を見ることで状況を理解する)
といった、多くのことを学んでいます。
机に向かって難しい問題を解くことだけが学びではありません。日常生活の中にこそ、お子さんの考える力を伸ばすための宝物がたくさん隠されています。
保護者の皆様も、お子さんの些細な疑問や気づきを大切にし、「なぜだろうね?」と問いかけ、一緒に考える時間を持ってみてください。それが、お子さんの知的好奇心を刺激し、深く考える力を育む第一歩となるはずです。